eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

モニター環境を変化させるプラグイン「MixChecker」の紹介

AudifiedのMixCheckerのレビュー、計測の記事です。

以前からたまに話題になる、モニター環境シミュレータです。様々な環境で鳴らした状況を模倣し、よりよいミックスを仕上げるためのツールです。

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(2020年2月27日更新)

MixCheckershop.audified.com

149ドル。たまに$99セールしています。

iLok必須です。

デモ版でもiLok必須です。ソフトウェア版のiLokでもOKです。

インストール後に「Try」を選択すればデモモードで起動します。

 

 

 

■仕組み

様々なモニター機器を録音し、そのIRデータで再生環境を再現する、という仕組みのようです。

このMixCheckerでは、複数の状況を組み合わせた音も出せるのが特徴です。

 

■機能

左上の緑の「3種の補正、もしくは補正なし」+「下の12種」の組み合わせで異なるサウンドに変質させることができます。必要に応じて「モノラル」にできます。

ボリューム補正は上下9dBできます。ボリューム補正はそれぞれのボタンに対して記憶されるので、毎回ボリュームに触る必要はありません。

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■Compensation

試聴環境に合わせます。ニアフィールドモニターのサイズ2種とヘッドホンの、いずれの環境で使いますか?という選択肢です。

ヘッドホンで作業しているならもちろんヘッドホンを選ぶべきなのですが、様々な環境を試す上では5インチスピーカーと8インチスピーカーのモードも試してみるべきでしょう。

どうせシミュレータなので厳密な使い方にこだわる意味はありません。

「よりよい高級モニター専用スピーカーを使用している人は使わなくても良いよ」とのことです。

 

■Simulation

12種類の再生環境を再現できます。

マニュアルにある順序で書き出しておきます。(GUIの並び順とは異なります)

  • Classic Studio Monitor
  • Classic Cube Monitor
  • SmartPhone
  • Tablet
  • Laptop Speakers
  • On-Ear Headphones
  • TV
  • Micro HiFi
  • In-Ear Headphones
  • Car Audio
  • Desktop speakers
  • Radio

機器名は明記されていませんが、NS10MやAuratoneのことだと思われます。

 

■デフォルト状態の記憶

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右から2番めのレンチのアイコンで環境設定等ができます。

「Save Current Setting As Default」を指定すると、次回起動した時に現在と同じ設定で起動してくれます。

DAW側の機能としてついているものもあります。

最近のプラグインでたまについている便利機能です。

 

■公式レビューと音の試聴

shop.audified.com

 

■計測スクショ

Cubase6系付属のピンクノイズ発生機

Melda MMultianalyzerでコンペンセイティングのモードを複数重ねて表示しています。

以下のスクショはあくまでも帯域特性のみです。実際にはステレオ感なども加工されるので、デモ版を実際に使ってみるか、この記事の冒頭にあるリンク先にある動画で確認してみてください。

 

グレーの塗りつぶし=ピンクノイズ(Turough)

赤=Compensating無し

青=5インチスタジオモニター補正

緑=8インチスタジオモニター補正

黄=ヘッドホン補正 

■狭い音量差での表示

周波数は、左端が0、数字が見える順に50、100、200、50、1k、2k、5k、10k、20kが右端。

クリックで拡大表示できます。

 

MMultianalyzerの設定は「5秒平均」「2%ソフト表示」です。

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■広い音量差での精密表示

グレーの塗りつぶし=ピンクノイズ(Turough)

赤=Compensating無し

青=5インチスタジオモニター補正

緑=8インチスタジオモニター補正

黄=ヘッドホン補正

 

MMultianalyzerの設定は「5秒平均」「ソフト表示無し」「高解像度モード」「24dBゲイン表示」です。

 

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・コムフィルター

いくつかのシミュレーション結果で「大きな山・谷が規則的に並んでいる箇所」があります。

これはステレオ録音で左右位相の打ち消しが起きていることを意味しています。いわゆるコムフィルターと呼ばれる現象です。

 

コムフィルターという現象については下の記事で少し触れています。(見出しリンクです。開いた箇所から数ページ読むだけでOKです。)

DTMをやっていると突き当たるちょっと難しい単語の話(1)位相 - eki_docomokiraiの音楽制作ブログ


 なので「このスピーカーではこの帯域が凹むんだな」と考えないでください!

そういうあたりを綺麗に収録できていないので、この手のプラグインはあくまでも参考程度にしかならないということです。ご注意ください。

■総評

知人からもこれについて意見を出し合った内容。

  • 完璧な再現性はもちろん無い
  • でも無いよりまし
  • そもそも「これでチェックすれば正解」というものは存在しない
  • 複数環境でチェックし、中間を取るのが普通の手順

ということから、それなりの価値はあると思います。

 

デモ版が30日も使えるので、その間に集中的にトレーニングすれば不要になると思います。(ついでにMeldaのマルチアナライザーも体験版2週間使えるのでMixCheckerの残りデモ時間を計算して一緒に使うとさらに良い1ヶ月を過ごせるはずです。)

 

eki-docomokirai.hatenablog.com

どちらもかなり邪道な道具なので常用するものではなく、一定期間使ったら血肉にして卒業するべきだと思います。

 

 

近年になってWavesやToneboostersなど、いくつかのメーカーが同様のモニターシミュレータープラグインを出しているので、今後さらに発展していく分野かもしれませんね。

 

もしミックスが上手くいかない原因がモニター環境だと信じているなら、こういうプラグインで擬似的に問題を解決できます。

でも、経験上、ミックスが上手くいかない原因はモニター環境である以上に様々な思い込みによって、音を判断する能力を発揮できていないからじゃないかな?と思います。装備だけ揃っていても、道具をどう使うかが大事です。そして何より、道具を使う自分自身をトレーニングしなければいけません。逆に言えば、しっかり訓練されている人はクソ環境でもそれなりの仕上げにすることはできるということです。

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