eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

『スピードミキシング』より速くMIXする3つの方法(Sonic Scoop翻訳記事)

DTM、MIXに関する記事です。

海外(英語)のミックス情報を許可済みの上で翻訳・要約して紹介する内容です。

今回はイコライザーの使い方について紹介します。

この記事はSonic Scoopを経由して執筆者(Joel Wanasek氏(リンク))に正式に許可を貰った上で要約した内容を紹介するものです。

英語は得意ではないので、誤訳・意訳が生じていることについてはご容赦願います。

全体・部分の引用は控えてください。

今回の記事はSonic Scoopさん(アメリカ、ニューヨーク拠点)の記事を紹介します。

www.sonicscoop.com

この記事は翻訳+要約、誤解を避けるために補足したものです。原文(非常に長いです!)を読みたい人は上のリンク先で読んでください。

 

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以下、本編。

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■はじめに

ミキシング時間を2倍にできたら、どれほどのお金を稼げるのか想像してみてください。

半分の時間で終わらせることが、どれだけ娯楽の時間を増やせるのか想像してみてください。

リリースする作品の数が増えれば、新しいお客さんを獲得するチャンスも増えます。

 

「品質を犠牲にすることなく、MIXをスピードアップさせる」

 

これは思っているよりも簡単なことです。

 

■著者の失敗談

私がMIXをやり始めた頃はそれほど速くありませんでした。

何年もの間、私は微調整に微調整を重ねていました。

出来上がった作品を3週間後に聞くと、やり直したい気持ちに苛(さいな)まれました。

 

経験あるでしょ?

 

数年後、私のスタジオは忙しくなり、時間が足りなくなりました。週に80時間(7日で割ると1日10時間以上)MIX作業をしていました。

 

ある時、初めて他のプロデューサーのプロジェクトに参加し、彼のスタジオのワークフローを見ました。そのスタジオも多忙を窮めていて、「どこも同じだなぁ」と感じたものです。

 

でも、そこで他人の仕事を客観的に見るうちに、以前は考えもしなかった素晴らしい編集アプローチをひらめいたんです。

 

家に帰り、さっそく試してみることにしました。

 

その結果、私のドラム編集のワークフローはかなりスピードアップしました。

次の日から私は週に1日の時間を捻出することに成功しました。

これはMIXする時間と、バンドと曲の構想を練る、クリエイティブな時間が増えたことを意味しています。

 

他のスタジオとプロデューサーを見ていて気がついたもう1つのことは彼らがDAWの機能と、プラグインの性質を全て熟知していたということです。彼らはマニュアルを良く読み、何度も読み、それを身に着けたのでしょう。私もそうするべきだと思いました。

 

いつもの仕事ルーチンの日々に戻り、私は自分のワークフローについて深く考えるようになりました。自分の仕事のやり方、トラック処理、ミキシングについて批判的な観察し、分析し続けました。これは私のキャリアの中で初めてのことだったんです。

 

ミキシングについて持っていた全ての先入観を投げ捨てました。なぜそういう「先入観」にとらわれていたのかについて考えました。1つ1つは小さなことでも、積もり積もって作業スピードと復習時間の増加につながります。(この辺かなり意訳です。)

 

仕事のストレスは減り、多くの仕事をこなせるようになり、ようやくアシスタントを雇うことになりました。

 

私のスタジオは狂ったように成長しはじめ、私はその勢いを止めたくありませんでした。

アシスタントに指導する中、ワークフローについて多くの議論がありました。

教えることのメリットは、「他人に説明した作業プロセスを自分も守るようになる」という点です。自分自身の理解と、考え方をより明確にします。

 

アシスタントと私の2人による仕事は1ヶ月に40曲のMIXという速度になりました。

 

制作物の品質を犠牲にすることなく、生産性を向上させるため、新しい仕事システムを考え、テストしました。そこで私達が目標にしたのは「1年に500曲」を可能とするMIXシステムでした。バカじゃねーの?いや、マジで!

今となっては年間500曲という目標は達成していて、1ヶ月に67曲やったこともあります。これはさすがにキツかった。

 

このスピードミックスシステムをテストするための唯一の方法は、実際に崩壊寸前までやってみることでした。生産性を保つため、別の部屋で「ゴーストミキサー(アシスタントミキサー)」をやってくれる別の人を雇いました。

 

でもコレを読んでいるあなたは同じ苦労をすることはありません!

 

もしスピードミキシングを身に着けたいなら、スピードアップに役立つ3つの強力で実用的なヒントを書いておくので、これを利用してみてください!

 

 

■1,優先順位を決める

まず、MIXにおける大きなミスを2つ挙げておきます。

  1. 「これで完成だ!」と宣言すること
  2. 最も重要な点を見定めること

MIXの最大の悩みは、いつ、何をもって「完成!」となるかです。

私もそれに悩み続けていました。

逆に考えてみてください。音楽というものに「完成」なんて無いんです!芸術に終わりなどありません!

 

考え方を変えてください。MIXで大事なのは「いつ曲が歌のように聞こえるか?」(抽象的すぎるので原文を添えます“When does the song sound like a song?”)。

再生ボタンを押してプレビューを聞いてみる時、あなたはどっちを考えますか?

  • 曲として聞く
  • MIX分析のために聞く

「MIX作業のために聞く」ことをやめて、「その曲を、音楽を聞く」ということです。このように考え方を切り替えることは役に立ちます。

 

それでも、別の問題が残っていて、ほとんどのMIXエンジニアは何を重視するべきなのか気がついていません。

  1. 私はこの曲を「好き」?
  2. 私はこの曲を「鑑定、識別」する?
  3. 良いサウンドか?(あるいは、MIXが不完全で、品質が低くはないか?)

たとえば、ドラマーの人とミキサーの人だけがスネアドラムがどうなのかを神経質に聞いているということです。

ドラマーは「スネアのチューニングが5セント高い!」とか言います。

ミキサーは「ゲートエフェクトのディケイが短い!」とか言います。

でも、それを変更したからファンが1人増えることにつながりますか?ということです。

同様に、ギターの4000HzをEQで0.6dB大きくしたらCDが1枚多く売れるということにはなりません!

 

忘れてはいけないのは、楽器の奏者もエンジニアも「オーディオ側の人」だということです。

バンドのファンも、家族も、「普通の人」です。

「オーディオ側の人」と「普通の人」の間には深い断絶があり、オーディオ側の情熱をどんなに叫んでも「ふーん」と言われるのがオチです。日本のことわざでは「暖簾に腕押し」「糠に釘」。そこにこだわって、いくら努力しても効果が無い作業だということです。

(注:原文では"duck and cover"と書かれています。「ソビエトから核攻撃を受けたらどうする?」「丸まって頭をかくせ」という冷戦時代のネタ、だったはずです。転じて「意味がない行為」を示す言い回し、のはずです。違ったら指摘コメントください。)

 

別の言い方で最近よくあるのは、「100万円のモニターシステムを使って作った曲がスマホの付属イヤホンで聞かれている」とか「ハイレゾ音源をカーステレオで流す」いうアレです。

 

つまり、ミキシングで必要なのは「感情的に訴えるインパクトあるサウンド」を生み出すことだということです。

そこで重要なのは何か!?そう、ボーカルです!!

3日掛かりで作り込んだ病的なドラムトラックを納品しても「やりなおし」と言われ、「どこが悪いんだよ!」と喧嘩になり、時間とお金を無駄にしてしまいます。くそっ!!なんでだよ!!

 

気がついたか!?おめでとう!!

その方針のままこの先の数年間をストレスまみれで過ごしてハゲるのではなく、「MIXとは病的に作り込まなければならない」というオーディオの側の人間ならではの執着を捨てて、実際のクライアントが本当に求めているサウンドについて考えてみることです。

その時間と労力、音楽への情熱は、もっとも違いが出るトラック、すなわちボーカルの音作りにあてるべきです。

 

 

■2,クライアント対応の改善

ミキシングの仕事をスピードアップする2つ目の方法は「クライアントとのやりとりを改善すること」です。

驚くべきことに、このやり取りは体系化することができます。

私がやっているトリックは以下のようなものです。

  1. 彼らに読ませる「ミキシング依頼ガイドブック」を作っておく
  2. ミックスのプロセスを改善する

 

「ミックス作業を依頼する際のガイドブック」を用意しておけば、莫大な時間の節約ができます。ファイルシステムの違いや、必要な諸データファイルをクライアント側でちゃんと用意させるということです。

  • 編集と任意のチューニングを統合(Consolidate edits and any tuning.
  • 弦楽器のDIトラックを送信(Send DI tracks for stringed instruments.
  • テンポトラックと、書き込みバージョン(Send a tempo track as well as a written version of tempos.
  • オーディオファイルの頭合わせ(Export audio files from 0 so everything lines up properly.
  • セッションファイルを送信しないでください。ステムだけでOKです。(Do not send a session file.Only audio stems.
  • MIDIのドラムファイル(どの打楽器なのかを推測する時間を短縮できる)
  • などなど……

必要なことは他にもいろいろありますが、このような形式で「このファイルを送ってください」と明記しておくことで、我々ミックスエンジニアは作業時間を大幅に短縮できます。

この仕組で仕事を引き受けるようにすれば、困難なクライアントとの仕事もスマートになり、我々の時間に悪影響を及ぼすことはありません。

 

ミックスエンジニアをとりまく最大の問題は「時間さえかければ何でもできてしまう」ということです。クライアントからの無茶な要求に耐え続けるのではなく、あくまでも「仕事のやりとり」として定義する必要があります。

試してみるべきアイディアとしては、

  • クライアントの連絡窓口を1人だけにしてもらう
    これによってドラマーからの要求とギタリストからの要求の矛盾を防ぎます。
  • リテイク回数(revision)について、限界数を設定しておく
  • 任意の最終締め切りを決めておく
    例えば「8月1日から大きな仕事で完全拘束されるので」など。
  • アルバム化する時には、最初から伝えてください(意訳)。(When doing an entire album, turn in all mixes at once after the first.)同時進行で最適化できるからです。

 

■3,ショートカットキー

DAWで作業する時、スピードアップ化を考えてください。

すべてのDAWには学習曲線があります。

上達するにつれて、幾つかの便利なショートカット操作を身に着けていくことになります。

でも、ショートカット操作についてしっかりと腰を据えて勉強しましたか?

ユーザーが設定できるカスタマイズで、重要な操作を実行したことがありますか?

 

ショートカットキーの威力を見落とさないでください。単純な操作のスピードアップの積み重ねは、1年間の作業で数週間に相当する効率化となります!

少しのステップアップで莫大な効果が期待できます。

 

(※以下はPro Toolsの基本ショートカットキーです。DAWによって異なります)

  • CTRL + N - 新規プロジェクトを作成する
  • CTRL + O - プロジェクトを開く
  • ALT + CTRL + I - オーディオファイルをインポートする
  • SHIFT + I - トラックアーカイブをインポートする(テンプレートをミキシングする)
  • CTRL + E - オーディオミックスダウン(エクスポート)
  • SHIFT + A - 選択したトラックからミキシングアーカイブを作成する

マウスを動かしてメニューを選ぶたびに、あなたは時間を無駄にしていると考えてください。

私も昔はマウスを動かしてファイルバーをクリック、開いたタスクの中からコマンドを選択して……とやっていたことはあります。でも今の私はそういう操作をしません。

それなりの時間をかけてショートカット操作の練習をし、最適化をしてきました。時は金なりです。

 

■3つの仕組みでスピードアップ

ここまで紹介した3つのスピードアップ方針を実践すると、ミキシングのワークフロー時間は大きく節約されます。

 

(ここから著者のセミナー宣伝)

しかし、実際に1年500曲以上のミックスを可能にするプロセスを学びたいなら、こちらのスピード・ミキシング・ウェブ・セミナーに参加してください!(注意、当然英語です。)

unstoppablerecordingmachine.clickfunnels.com

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■翻訳・編者まとめ

ようするに

  • 音楽として大事な点
  • やり取り
  • ショートカット操作

この3点について、時間をかけてちゃんと身につけようねという内容でした。

 

今回の翻訳記事は完全なプロ向けの話ですね。年間500曲なんて、趣味でMIXをやっている個人には絶対に無理な領域の話ですよね。それでも参考になる点は多くあり、月に数曲を仕上げていく上で活かせる点を読み取ることができたのではないでしょうか?

 

私(ブログ主)が行っているレッスンで大変好評なのが、「音楽制作における時間管理」という講義です。

このレッスンでは、学校や仕事から帰宅してからDTMを行える数時間をいかにうまく使うか?というノウハウを説明しています。MIXだけではなく、作曲や編曲、MIDI打ち込み前のトータルな制作効率化について解説しています。

これは近々電子書籍化して販売しようかなと思っています。

レッスン希望者はお気軽に連絡どーぞ!

 

 

今後も海外のDTM関連記事で優れた内容のものがあったら、厳選して日本語に翻訳して紹介していきたいと思っています。ご期待ください!

 

誤訳についての指摘がございましたら、お手数ではありますがコメント等でお知らせ願います。

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