Vienna等の高級音源にある自動レガート演奏機能は、便利な反面、邪魔になることがあります。そういう時の対処法について書いておきます。
これは大昔のMIDI音源時代からあるテクニックでもあります。おっさん乙。
高級音源に搭載されている自動レガート機能はとても便利ですが、時折邪魔になってしまいます。
そういう状況を打開する打ち込みテクニックについて書いておきます。
■ケース1、同音連打を明瞭にする
上の演奏は「レ♭ー ラ♭ー ソー ラ♭シ♭ | シ♭ー」と演奏させたいのですが、レガート機能が働いてしまい、最後のシ♭が不明瞭なアタックになってしまいます。
そこで、下のようにします。
本来の音程から下げておき、シ♭の同音連打を明瞭にすることができます。
Cubaseのノートエクスプレッション機能でピッチベンド(PB)を書いていますが、通常のMIDIピッチベンドでも同じです。
また、上の例ではCubaseのMIDI編集機能で特定ノートをミュートし、「本来の音程」をメモとして残しています。こうしておくとピッチベンドを使った変則打ち込みをしても後からの編集が容易です。また、楽譜化する時にスマートです。楽譜上でも音符を非表示にすれば良いだけです。
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■ケース2、跳躍先を明瞭にする
上の例では、下方跳躍先の音までポルタメントぎみの演奏になり、ニュアンスが変わってしまいます。
もちろん手前の音を短くすることで対応可能なのですが、それはしたくない!
そういう時は下のようにします。
直前に短いノートを、極めて小さいベロシティで配置し、これにレガート機能を反応させます。
そうすると半音隣からのレガートになるので、改善されます。
どうしてもうまくいかない場合、この短いノートに対してキースイッチを反応させておくとうまくいくこともあります。
このように何種類かの回避テクニックがあることを知っておくと、とっさの時に便利です。
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■こういう対策のほうが利便が高いですよ!
こういうやりかたをせず、「一度オーディオ化してから云々」とか、複数音源で演奏させるという方法もありますが、オーディオ化等のゴリ押し対策は、後から加工することが困難になるので現実的ではありません。
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■関連する予備知識
自動レガート機能は「実時間」で反応する範囲を決めているものと、「MIDIのTics」で決めているものがあります。実時間のものの方が多いかな、と思います。
自動演奏が効いているな、と思ったらテンポを大きく落として試してみると判別できます。
■オーケストラ音源以外でのダミーノートの仕様例
手前に短いノートを小さいベロシティで配置するテクニックは、ドラム音源でも有効なことがあります。
■ラウンドロビン回避
中途半端なラウンドロビンで、あからさまに2つの音が交互に演奏されている感じに聞こえてしまう場合、片方のラウンドロビンをダミーノートで殺し、ラウンドロビンだけを聞かせ、あとはベロシティで対応することができます。
ラウンドロビン数が多い場合はそもそも必要に感じることはありません。交互に聞こえるよりはマシという方針です。
■ギター音源等でのストローク制御
ストローク(ストラム)が上下交互に現れてしまうことをダミーノートで片側だけにすることができる場合があります。
必要になるのはダウンストロークだけで演奏してほしいという状況なのですが、アップ連打になってしまったとしても、交互に聞こえるよりはマシです。アップ連打になっていることを判別できないケースの方が多いです。
もちろんすべての音源で必ず使える汎用テクニックではないので、どの手段を使うとうまく行くのかについては、ある程度熟練しておく必要があります。「この音源の場合、この方法でダミーが有効になる」と覚えておくだけで、その音源の欠点をカバーできるチャンスが生まれます。
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この記事で紹介した方法などを駆使することにより、編集しやすい状態を維持したまま、求める出音を得ることが可能になります。
古臭いテクニックなのですが、今日でもなお利用価値がある優れた打ち込みテクニックです。
他にもいろいろな打ち込みテクニックがありますが、全部を公開するつもりはありません。有料レッスンの中で、必要に応じて伝授しています。